リモートで理事会・総会を開催するには
新型コロナウイルスによる影響も若干落ち着いてはきましたが、
弊社管理物件の一部では今も尚理事会の開催を見送ったり、
総会を書面決議で開催したりといった組合活動の自粛がございます。
そんな状況の世の中、注目されているのがITを活用した組合活動です。
令和3年6月の標準管理規約の改正においても、「ITを活用した理事会・総会」すなわち、
リモートでの理事会・総会の開催が可能であることが明確化され、
これにあわせて留意事項等が記載されました。
※標準管理規約とは、各管理組合がマンションの維持・管理や生活する上での
ルールを定めた管理規約を、作成・変更をする際の参考になるよう、
国土交通省が作成したものです。
管理組合がリモートでの理事会・総会を開催するためには、以下の準備が必要です。
管理規約の改正
まずは管理組合がリモートでの理事会・総会を開催可能であることを
あらかじめ管理規約に明記するために、規約を総会で改正しておく必要があります。
令和3年6月に改正した標準管理規約の第2条十及び十一、第38条コメント、
第43条及び同条コメント、第47条及び同条コメント、第52条コメント、
第53条及び同条コメントが参考になります。
IT環境の構築
リモートでの理事会・総会を開催するためには、以下のものが必要になります。
1.パソコン・スマートフォン・タブレット等の端末
2.インターネット回線
3.WEB会議アプリ
4.カメラ、音響機器、モニター等(リモートとリアル理事会・総会開催を併用する場合)
リアル理事会・総会とは、マンションの集会室や公民館等の会場で開催する
一般的な形式の理事会・総会を指します。
リモートでの理事会・総会はどこにいても参加できることが最大のメリットですが、
ITの使い方がわからない方や、Wi-Fi環境が無くインターネット接続料に
抵抗を感じる方もいらっしゃる可能性がありますので、現状では
リモートとリアルを併用する理事会・総会の開催が望ましいといえます。
今後さらに発展するIT技術の活用に向けて、
今から管理組合で少しずつ準備してみてはいかがでしょうか。
マンションの駐車場にEV充電設備を
世界的にEV技術が発展している中、日本国内でも買える電気自動車の選択肢が増えはじめています。
日本政府は、2035年までに乗用車新車販売における電動車の比率を100%とする目標を掲げており、今後はこれまでのガソリン車に変わって電気自動車(EV)が主流となっていきます。
マンションにおける充電設備等サービスの選択肢は資産価値に繋がるのか。基礎充電のための充電設備拡充が大事な課題なのか。これもまた、選択肢の一つではないでしょうか。
電気自動車の充電設備を設置するなら
充電器の種類には、出力が高く短時間で充電が完了する「急速充電器」と、出力は低めで数時間の充電時間を必要とする「普通充電器」の2種類がありますが、急速充電器は広い設置場所が必要で導入費用も多くかかるため、主に高速道路のSA/PAや道の駅などに設置され、緊急時などの継ぎ足し充電に利用されます。
マンションのように生活の拠点となる場所には普通充電器の設置が適切と言えるでしょう。
マンションに充電設備を設置する場合、管理組合の合意が必要
「そもそも設置するかどうか」といった議論はもちろん、設置費用は誰がどれだけ負担するか、利用ルールはどうするか、設置後の電気代はどう徴収するか、などについて話し合って合意を得なければなりません。
たとえば充電にかかる電気代は「充電した人がその場で決済」という方式を採用すれば、クルマを持っていない住民やEVを所有していない住民にも設置を受け入れてもらいやすくなるでしょう。
電力供給の契約を変更する必要があるか検討
充電設備は大きな電力を消費するため、契約電力・電気容量を確認することが非常に重要となり、電気容量が不足した状態で充電器を設置すると、共用部分の電気設備の停電を招く恐れがあります。
変圧器の取り換え、幹線の引換えなどの工事が発生する可能性があります。
充電設備の運用に要する費用
充電設備の運用に要する費用については、大きく分けて、電気料金と管理費用の2つがあります。
電気料金については、充電設備の利用者から徴収することを基本としつつも、様々な方法が考えられます。
1.電力量ごとに料金を定める
2.利用時間に応じて料金を定める
3.定額制
また、管理費用については、保守契約費用や充電器の交換費用などがあります。
保守契約費用については、月当たり数千円から数万円まで保守契約の内容によって様々です。
充電設備の利用料金の徴収方法は複数あり、昨今ではこうした運用面のサービス提供を行う事業者も多く、それぞれの組合の事情を踏まえながら徴収方法を検討されることをお勧めします。
導入する上で、補助金等様々な課題が多くありますがEVの普及に向けて取り組みを進めていきたいものです。
漏水に対する保険の備えを!
30年以上の高築年数のマンションにお住いの皆様、専有部分(自室)に関わる火災保険
(個人加入)に必要な補償で、外せない補償が二つあります。
高築年数のマンションで、多発するのは「水漏れ」事故です。
集合住宅ではいつ起きてもおかしくない事故であり、上階の方が洗濯機のホースを
外してしまった、湯船に水を入れ続けてしまった等のヒューマンエラーに起因する
場合もありますが、専有部分の劣化した配管から水が漏れてしまった等の、
設備の経年劣化による漏水は、建物の高齢化と共に発生が増えてきます。
必要になる特約補償は二つです。
1. 水濡れ損害補償(被害を受けることを想定して契約しておく保険)上階から
漏れてきた水による被害を、下階の方ご自身の保険で補償してもらいます。
2. 個人賠償責任補償(加害者となることを想定して契約しておく保険)上階で
漏水の原因を生じさせた方は、下階の方の被害に対する賠償責任が生じます。
その時上階の方が「個人賠償責任保険」を契約していれば、保険で被害が
補償されます。
ただし被害が全額補償されるとは限りません。
保険で補償範囲がカバーされない場合は、加害者となった方が不足分を
自己負担で補填する場合もあり得ます。
マンションの配管の区分について
マンションの配管には給水管と排水管がありますが、 「共用部分」の配管と、
「専有部分」の配管に分かれます。
共用部分の配管が原因の水漏れ被害は、管理組合が契約するマンション総合保険に、
建物管理賠償責任(施設賠償責任)補償特約が付されていれば、保険で被害が補償されます。
給水管の場合、各戸メーターから下流の管が専有部分の扱いになります。
専有部分の給水管に起因する下階への漏水被害は、区分所有者が賠償責任を
負います。
基本的に、床下にある配管は、区分所有者の所有する専有部分の配管です。
ご自身の部屋の床下の配管から水が漏れて下階に損害を与えた場合は、
補償の責任を負うこととなります。
実際のところ、高経年マンションでは、専有部分の劣化した配管からの
漏水事故が、多くを占めていますのでご注意ください。
以上漏水事故の発生に備えて、万がーの時に役に立つ保険の効用をご説明しました。
漏水事故は、集合住宅に居住する限り、どなたでも遭遇する恐れがあります。
特に加害者になった場合を想定して、最低限個人賠償責任補償には加入して
おくべきでしょう。
未加入の状態は、自賠責保険に入っていないクルマに乗っているのと
同様である位の認識が妥当だと思います。
マンションの雨漏りに対する管理組合としての備え
例年、夏から秋にかけて台風が多く発生します。
台風は通常の雨に比べ雨量が増えることや、横殴りの雨となることから、
思いがけない所から雨がマンション室内に侵入します。
雨漏りは原因の特定が困難です。
漏水箇所は主に屋上防水の劣化、外壁のクラック、コーキングの劣化等が考えられますが、
天井裏で水が回って、マンション室内に雨が侵入していることもあり、
漏水箇所は水濡れ箇所の付近とも限りません。
調査は、雨が降っていない時に実施する場合、水を掛けて行いますが、
大量の水を長時間掛け続けることを繰り返し行い特定していきます。
一日で特定できないこともあり、居住者は雨が降る度に不安を抱えながら
生活をしなければなりません。
漏水箇所が判明した後は、漏水を止める工事を行いますが、仮に屋上の防水工事を
長期間行っていない為漏水が発生したのであれば、屋上防水工事を行わなくてはいけません。
工事金額も百万円以上の金額となり、理事会と総会を経て実施することとなると、
漏水発生から数か月後に工事に取り掛かるということもあります。
その間、マンション室内は雨が降る度に漏水が起こり、天井や壁のボードが崩れ落ち、
とても住んでいられる状態ではなくなることも多くあります。
その場合、工事が終わるまでどこかに仮住まいをしなくてはならない事も想定され、
居住者の精神的負担は相当なものとなります。
管理組合にとっては金銭的な負担も大きな痛手となります。
雨漏りは基本的に保険で対応できません。
漏水原因が分からずその調査をする為であれば調査費用は保険で賄うことは出来ても、
修理費用や部屋内の原状回復費用は保険金が下りません。
その為雨漏りが起こると金銭的な負担が発生します。
今まで防水工事を実施していない管理組合は、修繕費が不足している為
実施していなかったという所も多く、急な出費に対応できないケースもあります。
漏水を発生させない為には、なによりも計画的に修繕を行い、メンテナンスをすることが
重要で、屋上やルーフバルコニーの防水工事、外壁の修繕を定期的に実施することです。
また、工事の保証期間があると漏水が発生しても修繕費による金銭的負担が無くて済みます。
保証期間が終わるころに次の防水工事に取り掛かれるよう準備をしておくことです。
修繕費が不足している管理組合は、修繕積立金の値上げも検討し備えていく事が重要です。
マンション管理組合会計とは
マンション管理組合運営の中で、「会計業務」は極めて重要な役割を
果たしていることは、言うまでもありません。
日常的な会計業務の積み重ねが、毎月の会計報告や年度末の決算報告として
取りまとめられます。
会計業務が適切に行われていることが、決算報告書として適正性を左右し、
管理組合運営の財政面で良不良を示す事が管理組合会計ではないでしょうか。
管理組合会計と企業会計の違い
管理組合の年度末決算報告書は、区分所有者の共同の利益を増進し、
良好な住環境を確保することが目的であり、敷地や共用部分の管理に必要となる
費用を事業計画に従って、その費用を区分所有者全員で公平に負担するのが、
管理費や修繕積立金となりますす。
一方、企業は様々な方法を用いて利益を得る努力をし、資金を手元に残します。
集めた資金を使用し、活動した結果どのくらい利益を取得したか報告することが
必要であり、どうやって利益を取得したかを読み取る為に損益計算書や過去と
比べてどのくらい資金の増減があったかを示すキャッシュフロー計算書を
報告することが目的になります。
営利目的の企業とは異なり、管理組合は非営利目的、利益を必要とするのが
目的ではない為損益計算書を作成する必要はありません。
管理組合では区分所有者から集めた管理費や修繕積立金は、どんな理由で使用し、
どのくらい残っているかを示すのが収支計算書となり作成する必要があります。
目的別会計とは(分別会計)
一般的にマンションの建物の管理を行う為に必要な費用は管理費となり、一定年数
経過する都度、計画的に行われる大規模修繕や特別修繕の為に必要な費用は修繕積
立金となります。
異なる目的の為に集めた資金は収入と支出を別々に処理し、明瞭に分別し会計処理を
行うことが必要になります。
管理費会計—–日常的な維持管理に関する会計
(共用設備の維持管理、経常的な補修、備品消耗品費等)
修繕積立金会計—-大規模修繕工事や建物の特別な修繕工事に関する会計
実際に資金を管理費と修繕積立金に分けて管理することが重要であり分別管理をします。
マンション収納方法 イロハ
【イの方式】
管理費等と修繕積立金を収納口座へ入金し、そこから管理事務に要する費用を支払します。
管理費会計に充当する費用を支払った残額と、修繕積立金会計に充当する費用を翌月末日までに
保管口座へ資金移動します。
管理会社は保管口座の、印鑑・キャッシュカードの保管は出来ません。
また、管理費等と修繕積立金の合計額1ヶ月分以上を保証する保証契約の義務付けています。
【ロの方式】
イの方法と異なり、修繕積立金は収納口座を経由せずに直接、保管口座へ入金します。
管理費会計に充当する費用を支払った残額を翌月末日までに保管口座へ資金移動します。
管理費等の額1ヶ月分以上を保証する保証契約の義務付けています。
【ハの方式】
収納口座と保管口座を同じ口座とするため、管理会社は通帳・印鑑等を同時に保管できません。
これにより、管理組合の資金が既存するリスクが想定されない為、保証契約の締結は管理会社に
義務付けられていません。
管理費収入と修繕積立金収入は、それぞれ集める目的が異なり、別々の収支に充当するために、
同一の預金口座に入金しても、別々に処理することが必要になります。
これが管理組合の会計に特有な分別会計の原則で、全ての項目を管理費会計と修繕積立金会計に
分別します。
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