駐車場使用、管理費等での訴訟
駐車場使用での訴訟
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平成10年10月最高裁判所での判決事例を紹介します。
敷地内駐車場の使用料に関し、管理組合が新たに規約を設定して料金増額の
総会決議を行った。
そして、駐車場使用者に対して増額後の使用料を請求したところ、規約設定の
無効を主張して支払いを拒否。
そのため、管理組合が駐車場使用契約を一方的に解除した。というものです。
「増額の必要性及び合理性が認められる場合」、かつ、「増額された使用料が
当該区分所有関係において、社会通念上、相当な額であると認められる場合」
には、特別の影響を及ぼさないと結論付けています。
一般的に、使用料の増額は駐車場利用者に不利益をもたらすものですが、
十分な理由があり、かつ、影響が限定的であれば、値上げは容認できるとの
見解を示したのでした。
管理費等での訴訟
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平成14年に大阪高等裁判所で争われた、管理費等の滞納を原因とする専有部分の
使用禁止請求が否認された裁判を紹介します。
被告の区分所有者は平成3年から平成12年までの9年間、総額1,348万円もの
管理費などを滞納した。
管理組合は共同の利益に反する行為であるとして、当該区分所有者の専有部分の
使用禁止と滞納管理費の支払いを求めて提訴した。
第ニ審では、一転、管理組合の請求が否認される結果となった。
「管理費等の滞納は期間および金額双方において著しいもので、共同の利益に
反する行為に当たる」としながら、以下の理由により被控訴人(管理組合)の
請求を棄却した。
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1.専有部分の使用を禁止することにより、滞納管理費等を支払うようになる
関係にあるわけではない。
2.専有部分の使用を禁止しても、他の区分所有者に何らかの利益がもたら
されるわけでもない。
3.管理費等の滞納と専有部分の使用禁止には関連性がなく、専有部分の使用禁止を
認めることはできないと解するのが相当である。
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専有部分の使用禁止請求は、たとえば専有部分内で騒音や悪臭を発生させ、
他の区分所有者に迷惑を及ぼす行動をしている、あるいは専有部分を暴力団
事務所として使用し、周囲の居住者に恐怖を与えているなど、「積極的」に
区分所有者の共同の利益に反する行為がなされている場合に認められる。
共同の利益に反する行為の態様がこうしたケースとは異なり、専有部分の使用
禁止が認められるという関係にない。
つまり、「消極的」ともいえる加害行為に対してまで専有部分の使用禁止請求を
援用することは無理があるという解釈です。