騒音問題、ペット飼育での訴訟
騒音問題での訴訟
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最近の騒音問題の裁判事例を紹介します。
平成23年3月15日に東京地裁で、「上の部屋に住む男児が跳びはねてうるさい」
として、階下の夫婦が騒音の差し止めなどを求めた訴訟がありました。
裁判では、「我慢の限度を超えている」として、男児の父親に一定以上の騒音を
出さないよう、また、夫婦が求めた慰謝料計60万円のほか、妻が頭痛で通院した
治療費や騒音測定の費用も請求通り支払うように命じる判決を言い渡しています。
このケースでは、業者に依頼して騒音を測定した結果に基づいて、
「男児が跳びはねたり走り回ったりする音は生活実感としてかなり大きく聞こえ、
相当の頻度であった」と指摘、配慮すべき義務を父親が怠った、と判断されました。
一般的に「騒音」とされるのかどうかについては、平成24年に改正された環境省の
環告第54号に具体的な基準値が定められています。
それによると住宅地では昼間の騒音は50~55デシベル以下、夜間の騒音は
40~45デシベル以下とされています。
ペット飼育での訴訟
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東京地裁で争われたペット飼育訴訟を紹介します。
新築当初からペット飼育を禁止していたのですが、隠れて飼っている居住者が
いたことから平成14年に管理規約を改正。
それ以後、2年間の間にペットを手放す規則を追加しました。
ところが、期限が過ぎた後(2年後)も数人の居住者がペットを飼い続けたため、
管理組合から訴えられることとなってしまいました。
改正された管理規約は有効に機能しているため、規約違反とみなされてしまった
わけです。
被告(飼育者)は「ペットは人間生活に極めて重要な存在であり、危害を与えない
動物まで一律に禁止するのは人格権を侵害している」と主張しましたが、結果は
被告の言い分が退けられ、原告(管理組合)の請求が認められました。
「飼育禁止を望む居住者が多数おり、ペットを飼うことは区分所有法に定める
“共同の利益”に反し、人格権の過度の侵害とはいえない」というのが理由です。
マンションは1つの建物を複数の人が所有し、そこで生活します。
そのため、居住者1人ひとりの得失の他にマンション全体としての得失も同時に
存在するのです。