マンションお役立ち情報

排水管清掃の実施率を上げるために

2025年3月21日 / カテゴリ:マンション管理, 設備の管理

マンションの排水管清掃は

排水管の詰まりや悪臭などのトラブルを防止するために

定期的におこなうことが望ましく

年に1回程度実施しているマンションが多いと思います。

排水管清掃とは、住戸内の台所・洗面所・風呂場・洗濯機の排水を流すための管を

高圧洗浄ポンプを用いて水の力で

管内の汚れをそぎ落としていく洗浄作業になります。

なるべく下の階から清掃をはじめることにより

管内の清掃作業中に下部が詰まって

上から汚水が溢れ出るといった事故を防ぎます。

 

余談ですが、近年ドラム式洗濯機を使用する方が増えてきましたが

ドラム式は本体サイズが大きいため

設置スペースの問題で洗濯機の下に排水口が隠れてしまい

洗濯機下の排水口からの清掃ができないケースが増加しています。

ドラム式洗濯機は重量があるため自力で移動させることは困難です。

清掃業者によっては一時的に洗濯機を持ち上げるなどの対処をする場合もありますが

洗濯機の故障や壁面の破損の原因になるため、あまり一般的ではありません。

こういった場合には、 洗濯機の下部にスペースを空けるための

嵩上げ台なども市販されているため

設置を検討してみるのも良いかと思います。

排水管は各住戸の床下の横引き管から共用の竪管につながっているため

部分的に清掃をおこなっても効果が薄いので

できるだけ多くの住戸で清掃をおこなうことが大切で

住戸内への立ち入りが必須となる作業です。

しかしながら、実際には協力を得られない居住者も多く

実施率が上がらない問題が起こっているマンションも多いのではないでしょうか。

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実施率の低いマンションの傾向として

「共働き夫婦の多いマンション」や「賃貸がメインのマンション」で

より実施率が低い傾向にあります。

前者は仕事などの都合により在宅できない

後者はあくまでの借りているだけの部屋なので維持管理に理解が浅い

といった理由が聞かれます。

管理会社も各部屋の鍵を預かることは原則としてありませんので

代わりに実施することは出来ません。

こうした問題を解決することは容易ではありませんが

実施率を高める方法として、以下のような案があります。

 

①清掃実施日を増やす

排水管清掃の実施日を増やすことによって、居住者の選択肢が増え

仕事などの都合により実施できない方を減らすことが期待出来ます。

実施日を増やす場合、事前に居住者へ

どの曜日が良いかアンケートを行うことにより

期待できる効果が目に見えて判るので

検討してみるのもいいでしょう。

但し、実施日を増やすことにより

当然ながら業者手配の費用がより多く掛かりますので

事前に費用対効果を検討してから増やすのが良いでしょう。

 

②排水管清掃の重要性を記載した書面を配布する

排水管清掃を「実施することにより得られる効果」(悪臭の軽減など)

「実施しないことによるリスク」(管の詰まりによる排水の溢れ

他の住戸への漏水事故など)を記載して

実施を促す書面を配布してみるのも一つの手です。

居住者の中には、排水管清掃の重要性が

あまり判らない方もいるかもしれませんので

理解を深めてもらうことにより、実施に前向きになってもらいます。

全ての方に効果があるわけではありませんが

一部の方には実施するきっかけになるかもしれません

 

マンションの排水管清掃は法定業務ではありませんが

汚れが蓄積してからでは深刻な問題が発生することもあるため

定期的に清掃が必要です。

また、前述したとおり居住者の在宅が必ず必要になります。

そのため、居住者の都合で

毎回同じ部屋で排水管清掃を実施できない事例も多いのが実態です。

しかしながら、長期間清掃を実施しないと、排水不良が生じて

場合によっては排水が漏れて下階への漏水事故につながる恐れもあるため

先程提示した案のように

できるだけ実施率を高めるための工夫が必要となります。