出来ればほしい防犯カメラ
昨今、空き巣や強盗事件の報道が増えており
ご自身が狙われないか心配されている高齢者や単身者の方も多いと思います。
報道を見る限り、主に閑静な戸建て住宅に被害が多いようですが
マンションだから安心かと言うと、そうとも言い切れないようです。
警視庁のホームページをみますと
令和5年における侵入窃盗は4万4,228件も発生しており
前年比+20.9%と急増しているようです。
発生場所の割合としては、戸建て住宅が30.5%と最も多いですが
マンション等の共同住宅も11.1%と決して低くない割合です。
マンションは、人が多いので狙われづらいと思われがちですが
隣接する部屋のベランダから容易に侵入することができる点や
不特定多数の人が出入りするため逆に不審者を見分けにくいことがリスクとなります。
実際、弊社の管理マンションでも
大規模修繕工事の足場を利用して、高層階のベランダに何者かが侵入し
窓が割られる事件が発生したこともありました。
防犯カメラの設置には、主にレンタル、リース、買取の3つの方法があり
いずれもメリットやデメリットがあります。
レンタルは保守契約も含まれており
契約満了後には現在の機器を引き上げ、新たな機器に交換の上再契約となりますので
結果的に維持管理費用は高くなります。
リース契約には、契約満了後に
格安の料金で再リース(機器はそのまま)出来る業者もあります。
買取は機器費用と設置費用を一括で支払うので
設置後は修理費用以外掛かりません。
最近は、物価上昇により管理費会計が厳しい管理組合も多いので
なるべく費用の掛からないリース契約や買取が選ばれる傾向にあります。
また、カメラの設置場所に関していえば
一番多いのは人の出入りが判る「オートロック等の出入口」付近
次いで「エレベーターかご内」
不法投棄が度々あるマンションでは「ゴミ置き場」も多いです。
弊社のような管理会社としては
防犯カメラはマンションの維持管理のために必ずしも必要なものではなく
防犯性の向上等の付加価値の点が大きい為
積極的に設置の提案がしづらいものではあります。
ただ、居住者の方から設置のご要望があれば
比較的管理組合にご提案すしやすくなりますので
設置を望む場合、まずは管理会社や理事会に相談してみましょう。
必ずおこなう法定点検
マンションにおいて、建物・設備の点検は
安全安心に暮らしていくために重要なことです。
マンションの点検は
大きく分けると法定点検と任意点検の2種類があります。
法定点検とは
マンションの建物・設備に対して法律で実施を義務づけられたものであり
必ず行わなければなりません。
逆に任意点検とは
必ずしも実施しなければならないものではありませんが
より快適に、より安全に
マンションで生活するために実施する点検となります。
例をあげますと
機械式駐車場の保守点検、自動ドアの保守点検、宅配ボックスの定期点検などです。
法定点検はその内容によって関係する法律が変わってきます。
主な法定点検は以下のとおりです。※実施頻度は地域により異なる場合があります。
①特定建築物定期調査(建築基準法)・・・マンションの敷地や建物の状況を調査し、地盤に問題がないか、建物の構造強度に問題はないかなど、その建物の全体的な調査を行う。3年に1回の法定点検。
②建築設備等定期検査(建築基準法)・・・換気設備、排煙設備、非常用照明設備、地域によっては給排水設備といった設備についての検査を行う。1年に1回の法定点検。
③防火設備定期検査(建築基準法)・・・防火扉や防火シャッターなどの防火設備について検査を行う。1年に1回の法定点検。
④エレベーター定期検査(建築基準法)・・・エレベーター及びエスカレーターの機能全般を検査する。1年に1回の法定点検。
⑤消防用設備点検(消防法)・・・各種消防用設備の点検を行う。「機器点検」は、消防用設備の配置や状態の外観点検や動作確認を行い、「総合点検」は機器点検の内容に加え、電源や配線のチェックなど、より詳細な点検を行う。機器点検は半年に1回、総合点検は1年に1回。
⑥防火対象物点検(消防法)・・・建物に防火管理者が選任されているか、避難訓練を実施しているか、消防設備が正しく設置されているかなど、適切に防火管理されているかの点検を行う。1年に1回の法定点検。
⑦簡易専用水道検査(水道法)・・・水質や給水設備の検査。貯水槽の有効容量の合計が10㎥を超える場合に検査が必要。1年に1回の法定点検。槽内の清掃も法令により必須。
⑧自家用電気工作物定期点検(電気事業法)・・・600Vを超える高圧受電設備
の月次点検と年次点検。通常は電力
会社が行うが、高圧受電設備が設置されているマンションは、管理組合が点検を行う。月次点検は1か月に1回 、年次点検は1年に1回。
上記のとおり法定点検は沢山ありますが
マンションの規模や備わっている設備によって実施しなくてはならない点検が変わってきます。
小さいマンションですと
消防用設備点検のみ行えばよいところもあります。
但し、いずれの法定点検も実施・報告を怠ると罰則規定があり
なかには100万円の罰金が科せられるものもあります。
ご自身のマンションではどの法定点検を実施する必要があるか
すべてきっちり行っているか
今一度確認しましょう。
確認の上、未実施の点検がありましたら
管理会社や専門業者に依頼し、必ず実施しましょう。
機械式駐車場の維持管理
地方都市や郊外のマンションでなくてはならないものとして駐車場があげられますが
マンションによって色々なタイプの駐車場が設けられています。
主な駐車場のタイプをあげますと
平面式駐車場・・・一番オーソドックスでシンプルな駐車場。
敷地の空きスペースなどを利用して、白線を引いて区画を設け
その区画ごとに駐車します。
広い敷地を必要としますので
地方都市のマンションや郊外のマンションなどでよく利用されています。
マンションの敷地の路面に直接駐車しますので
メンテナンスの費用はほとんどかかりません。
(アスファルトや白線の引き直し位でしょうか)
立体自走式駐車場・・・平面式駐車場をさらに有効活用し
2層3段、3層4段というようにフラットな駐車場と
車が上下階に出入りするスロープなどを組み合わせた駐車場です。
平面式駐車場と同じように平面区画に駐車ができますが
より多くの台数の車を収納することが可能で
また機械式駐車場に比べて設備のメンテナンス費用が安くなる傾向があります。
大規模なマンションに設置されている方式です。
機械式駐車場・・・狭い空間を有効利用することを目的として普及してきた形態です。
2段パレット、3段パレットといったように
パレット(車が乗る台)が機械操作により上下あるいは左右に移動することにより
車の出し入れを行います。
操作盤を利用して自身の車の入っているパレットを呼び出して
車の出し入れを行います。
この中でも、機械式駐車場は狭い空間で多くの車が停められるため
「容積率いっぱいにマンションを建てたい」
「建築の条件で戸数分の駐車場を設ける必要がある」
といった理由により広く普及されてきましたが
大なり小なりいろいろなデメリットがあります。
維持管理費用が高額
機械式駐車場には多くの部品が組み込まれています。
パレット、制御盤、モーター、チェーン、ベアリングなどなど・・・
当然ながらその部品も少しずつ劣化していきます。
その部品交換費用がかなり高額です。
例として、今から5年程前に
あるマンションの6パレット、計16台駐車可能な機械式駐車場で
モーターとその他部品(リミットスイッチ、落下防止ソレノイド)を交換したところ
およそ350万円程の費用が掛かりました。
もちろん、部品はそれだけではないので
他の部品も交換時期が来たら順次交換する必要があります。
また、部品の交換以外にも保守点検の費用がかかります。
上記部品交換を行ったマンションでは
年間22万円程の点検費用が発生しています。
もっとも、法定点検ではない為
必ずしも実施しなければならないことはありませんが
事故防止の観点からも
点検による出費はやむを得ないところではあります。
高さ制限がある
分譲マンションで一般的となっている
2段、3段ピット式の機械式駐車場の場合には
最上段に停めている車には高さ制限はありませんが
中段以降には高さ制限があります。
築年が経過したマンションですと、中段以降の高さ制限が厳しく
今時の軽自動車でも入庫出来ないことが多いです。
この高さ制限のために空き駐車場が増え
駐車場収入が思うように入らないマンションも多いです。
入出庫するまで時間がかかる
駐車位置によっては、車を実際に入出庫させるまでに
数十秒から数分の時間を必要とすることから
利用者が不満を抱くケースも多いようです。
以上でもっとも頭を悩ませるデメリットとすれば
高額な維持管理費用ではないでしょうか。
対策として駐車場使用料の見直しや
マンション外の方に貸す「外部貸し」などで
収入を増やす方法があげられますが
値上げには限界もありますし
「外部貸し」は法人税を納めなければならない場合もありますので
簡単には解決しません。
ひとつの解決策として
弊社の管理マンションで機械式駐車場の埋め戻しを行ったところが幾つかあります。
機械を全て撤去して土や砂利などで空間を埋め、コンクリートを敷き
平面式駐車場にしました。
工事費用は掛かりましたが
コンクリートなので今後維持管理費用はかかりません。
現在機械式駐車場を利用されている方の理解を得ることは容易ではありませんが
維持管理費用でお悩みでしたら
埋め戻しも一つの案として考えてみてはいかがでしょうか。