マンション管理組合会計とは
マンション管理組合運営の中で、「会計業務」は極めて重要な役割を
果たしていることは、言うまでもありません。
日常的な会計業務の積み重ねが、毎月の会計報告や年度末の決算報告として
取りまとめられます。
会計業務が適切に行われていることが、決算報告書として適正性を左右し、
管理組合運営の財政面で良不良を示す事が管理組合会計ではないでしょうか。
管理組合会計と企業会計の違い
管理組合の年度末決算報告書は、区分所有者の共同の利益を増進し、
良好な住環境を確保することが目的であり、敷地や共用部分の管理に必要となる
費用を事業計画に従って、その費用を区分所有者全員で公平に負担するのが、
管理費や修繕積立金となりますす。
一方、企業は様々な方法を用いて利益を得る努力をし、資金を手元に残します。
集めた資金を使用し、活動した結果どのくらい利益を取得したか報告することが
必要であり、どうやって利益を取得したかを読み取る為に損益計算書や過去と
比べてどのくらい資金の増減があったかを示すキャッシュフロー計算書を
報告することが目的になります。
営利目的の企業とは異なり、管理組合は非営利目的、利益を必要とするのが
目的ではない為損益計算書を作成する必要はありません。
管理組合では区分所有者から集めた管理費や修繕積立金は、どんな理由で使用し、
どのくらい残っているかを示すのが収支計算書となり作成する必要があります。
目的別会計とは(分別会計)
一般的にマンションの建物の管理を行う為に必要な費用は管理費となり、一定年数
経過する都度、計画的に行われる大規模修繕や特別修繕の為に必要な費用は修繕積
立金となります。
異なる目的の為に集めた資金は収入と支出を別々に処理し、明瞭に分別し会計処理を
行うことが必要になります。
管理費会計—–日常的な維持管理に関する会計
(共用設備の維持管理、経常的な補修、備品消耗品費等)
修繕積立金会計—-大規模修繕工事や建物の特別な修繕工事に関する会計
実際に資金を管理費と修繕積立金に分けて管理することが重要であり分別管理をします。
マンション収納方法 イロハ
【イの方式】
管理費等と修繕積立金を収納口座へ入金し、そこから管理事務に要する費用を支払します。
管理費会計に充当する費用を支払った残額と、修繕積立金会計に充当する費用を翌月末日までに
保管口座へ資金移動します。
管理会社は保管口座の、印鑑・キャッシュカードの保管は出来ません。
また、管理費等と修繕積立金の合計額1ヶ月分以上を保証する保証契約の義務付けています。
【ロの方式】
イの方法と異なり、修繕積立金は収納口座を経由せずに直接、保管口座へ入金します。
管理費会計に充当する費用を支払った残額を翌月末日までに保管口座へ資金移動します。
管理費等の額1ヶ月分以上を保証する保証契約の義務付けています。
【ハの方式】
収納口座と保管口座を同じ口座とするため、管理会社は通帳・印鑑等を同時に保管できません。
これにより、管理組合の資金が既存するリスクが想定されない為、保証契約の締結は管理会社に
義務付けられていません。
管理費収入と修繕積立金収入は、それぞれ集める目的が異なり、別々の収支に充当するために、
同一の預金口座に入金しても、別々に処理することが必要になります。
これが管理組合の会計に特有な分別会計の原則で、全ての項目を管理費会計と修繕積立金会計に
分別します。
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収納口座 保管口座 保証契約 マンション管理適正化法 保管口座 マンション管理適正化法 76条 マンション管理適正化法 87条 管理組合 分別管理
支払一任代行方式(収納代行方式) 財産の分別管理に関する事項 管理業務主任者 収納口座
マンション 財産の分別管理とは
マンション管理会社が管理組合から委託を受けて行う出納業務は、 管理組合の
財産毀損リスクを低減するために、「マンションの管理の適正化の推進に関する
法律施行規則」により、平成22年5月施行となっています。
財産の分別管理とは
適正化法76条では、「マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する
修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として
国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して
管理しなければならない。」となっています。
施行規則87条では、「マンション管理業者は、管理費、修繕積立金等の財産を管理する
場合にあたっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引
出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。」となっており法律は
施行しています。
収納口座と保管口座の分別による安全措置
1. 収納口座
マンションの区分所有者等から納入された管理費、修繕積立金等を、一時的に預貯金として
管理するための口座
マンション管理会社が管理組合の出納業務を行う上で日常的に関与する頻度が高いため、
管理会社に管理組合等の印鑑、預貯金その他これらに類するものを管理することを認め
る一方、こうした場合の収納口座における毀損リスクを回避するため、マンションの区
分所有者等から納入される一月分の管理費、修繕積立金等の合計額以上の額につき有効
な保証契約を締結することを管理会社に義務付けています。
2. 保管口座
マンションの区分所有者等から納入された管理費、修繕積立金等から当該月中の管理事
務に要した費用を控除した残額を、収納口座から移し換え、これを預貯金として管理す
るための口座
主に修繕積立金を保管するための口座であるため、支払等は日常的には発生せず、口座
残高も多額となる場合が多いことから、保管口座の名義は管理組合等を名義人とします。
3. 収納・保管口座
マンションの区分所有者等から納入された管理費、修繕積立金等を、収納口座と保管口
座を設けない場合の預貯金として管理するための口座であり、管理組合等を名義人とし
ます。
一般社団法人マンション管理業協会保証機構細則 第4条
管理費等保証制度とは
「管理費等保証制度は、会員と管理組合間の管理委託契約(出納業務の委託を含むものに限る。
以下同じ。)に基づき管理費等を管理し又は委託業務費を前受する会員が、倒産等により管理
組合に対し管理費等又は委託業務費の返還債務を負うこととなった場合において、本機構と会
員との間の管理組合のためにする管理費等保証委託契約(以下「保証委託契約」という。)に
基づき、本機構が会員に替わってその返還債務につき管理費等1か月分の額を限度として履行
するものである。」
マンション管理会社が管理組合に対して管理費、修繕積立金等の返還債務を負うこととなった
とき(破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始の申立て)、に
第三者がその返還債務を保証することを内容とする契約を保証制度といいます。
近藤リフレサービス株式会社は、管理費等保証委託契約を一般社団法人マンション管理業協会
保証機構と締結しておりますので、安心して管理委託業務をお任せいただけます。
収納方法 イの方法
私はマンション管理会社で、会計事務を積み重ねる日々を送っています。
管理組合運営で「困っていないかな」と思うことを、私なりにわかりやすく表してみました。
今回は、会計業務の中の出納です。
現在、私共が管理をさせていただいている管理組合様の収納方法の多くは、イの方法です。
「イの方法」とは
適正化法施行規則第87条第2項第1号イの方式(財産の分別管理)
・区分所有者は、管理費等を毎月収納口座へ入金します。その口座から共有部分の光熱費や各業者等管理事務に要する費用の支払いをし、残額を翌月末日までに保管口座へ資金移動します。
・口座は管理費等を入金する普通預金と、保管していく普通預金の二つになります。
・管理会社は、出納業務の事務の効率性に配慮して収納口座の通帳と印鑑の同時保管OKですが、残額が多くなる保管口座については、印鑑は管理組合様で管理し、通帳は管理会社で管理します。
・収納口座の中には、管理費と修繕積立金が含まれていますが、管理費と修繕積立金は分けて管理するため、会計も二つあります。
・分別管理には、イロハの三つの方法があります。
※ 収納方法とは、管理費等を共用部分の管理に充てるために負担し納入した金銭の流れのこと。
※ 管理費等とは、管理費や修繕積立金・専用使用料その他を合わせた金銭のこと。
※ 収納口座とは、区分所有者が納入した管理費等を一時的に預貯金として管理するための口座のこと。
※ 保管口座とは、区分所有者が納入した管理費等を収納口座から資金移動先の口座で、管理組合等を名義人とする。
※ 適正化法とは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律のこと。
※ 適正化法施行規則第87条第2項第1号イの抜粋、マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
ご自分の管理組合が、どの方法になっているか管理費等を入金した後の資金の流れを、重要事項説明書等により確認することができます。
マンション収納方法 イロハとは
管理会社が管理組合から委託を受けて出納業務を行っていますが、一部の管理会社の管理費横領事件等により
管理組合の財産が損なわれる事態が発生しました。
よって、より毀損リスクの少ない、わかりやすい分別管理方法へ変更となったのです。
マンション管理業者は、「管理組合の財産を分別して管理しなければならない」と法律で決まっています。
その法律は、「マンション管理の適正化の推進に関する法律」と言い、略して「マンション適正化法」と呼んでいます。
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」も同時に定められています。
法律なので、難しい表現方法ですが、簡単に言うと
「区分所有者から徴収された管理費等を一時的な預貯金と修繕積立金の預金に分けて管理しましょう」と、
平成22年5月に改正されたということです。
管理費等の収納方法の流れは、
区分所有者の納入管理費等は → 一旦収納口座へ納入され、各種支払後 → 保管口座へ移し換え(保管口座は理事長名義)
預金通帳は、最低2口座となります。
収納口座に管理費と修繕積立金を一括して徴収し、毎月の光熱費や保守点検費・管理委託費等を差し引いた残りを保管口座へ
移し換えます。
これが、イロハの(イ)になります。
第87条第2項第1号 イ の方法
イロハの(ロ)は、
管理費と修繕積立金をはじめから分けて徴収します。
収納口座へ管理費を、保管口座へ修繕積立金を徴収し、毎月の光熱費や保守点検費・管理委託費等を差し引いた残りを保管口座へ
移し換えます。
イロハの(ハ)は、
管理費と修繕積立金を一括で徴収し、管理します。収納保管口座になり、管理組合の口座は1つしか持たないことになります。
安全措置として、徴収した管理費等を収納口座と保管口座に分け、翌月末日までに保管口座へ移し替えを原則としています。
また、一般会計と修繕積立金会計等、会計区分ごとの収支報告書等を、管理組合へ毎月定期的に書面で報告をしなければなりません。
これが、管理組合に対する管理会社の責任となります。
管理費等の収納方式
管理費等の収納方式
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「マンション管理の適正化の推進に関する法律」では管理会社は管理組合の
財産を明確に分別して管理することが義務付けられました。
これを「分別管理」といいます。
「標準管理委託契約書」を改定し、これまでの「収納代行方式」、
「支払一任代行方式」、「原則方式」を廃止して、(イ)、(ロ)、(ハ)の
3つの方式に分かれることとなりました。
▼ (イ)方式
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「収納口座」に管理費等・修繕積立金が収納され、1ヶ月以内に管理費等の
剰余金を「保管口座」(管理組合を名義人とするもの)に移し換える方式です。
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▼ (ロ)方式
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修繕積立金については直接「保管口座」に預入されますが、管理費等については
(イ)方式同様「収納口座」に収納され、1ヶ月以内に管理費等の剰余金が
「保管口座」に移管される方式です。
修繕積立金と管理費等の収納を分けて行うため「口座振替手数料」が2倍かかる
ことになるため、この方式を使うマンションは少ないと思います。
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▼ (ハ)方式
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管理組合の口座は「収納・保管口座」1つだけという方法です。
この方式は、従来の収納代行方式及び支払一任代行方式(収納口座の通帳・印鑑
とも管理会社保管)の場合は、認められません。
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管理会社との付き合い方
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管理会社に管理業務を任せきりでは、いけないことは言うまでもありません。
しかし、何でも管理会社を根拠もなく疑ってかかることも得策ではありません。
緊張感のある信頼関係を築き良きパートナーであることが一番といえるでしょう。
管理委託契約は、高度な信頼、信用を拠り所とする委任を基礎とし、管理組合の
大事な金銭管理も含まれています。
管理会社は管理のプロのもつ技術を上手に使いつつ、管理組合が主体となり
相互の向上に結び付けたいものです。