リフォームを行う際の注意点
国土交通省によれば2023年末での
築40年以上のマンションストック数は約136.9万戸で
年々右肩上がりで増え続けており
10年後には約2倍、20年後には3.4倍にまで増加する見込みとのことです。
それに伴い、築年数がある程度経過したマンションで
リフォームを行う部屋も年々増え続けています。
管理規約や使用細則がしっかり整備されたマンションでは
お部屋のリフォームを行う際のルールが明確に定められている場合が多く
管理組合や近隣との無用なトラブルを避けるためにも
ルールは遵守しなければなりません。
今回は、マンションでリフォームを行う際の
一般的な手順をご紹介したいと思います。
集合住宅であるが故に戸建て住宅のように自分の都合でなんでも自由に
という訳にはいきませんので、ご注意ください。
①まずは、行いたいリフォームの内容が
管理規約や使用細則に違反していないかを確認し
内容に問題があるようなら改善しましょう。
よくあるのは、フローリング張り替えの際に遮音等級が基準値以下であったり
禁止になっている壁の開口を行う内容になっている、などです。
(遮音等級については基準を設けていない場合もあります)
工事可能な曜日や時間が定められている場合もありますので
よく確認しましょう。
②次に、工事申請書を作成し管理組合に提出します。
申請書の書式は管理組合で作成していることが多いです。
たとえお部屋のリフォームであっても
事前に工事申請をして管理組合から許可をもらわなければ
工事を始めることはできません。
工事内容によっては
申請書と併せて設計図、工事仕様書、工程表が求められる場合もありますので
管理会社や管理員に確認して必要であれば準備しましょう。
提出期限が定められている場合も多いので
余裕をもった工事プランを作成しましょう。
③管理組合から許可がおりたら
工事の前にお知らせの掲示配付や近隣へのご挨拶をしましょう。
工事期間中は工事業者が共用廊下やエレベーターに出入りしたり
資材の搬出入をしたりして
他の居住者の生活に少なからず影響がありますので
工事業者に依頼してお知らせは必ず作ってもらいましょう。
また、工事に伴う音や振動・臭い等で
近隣にご迷惑をおかけする可能性がある場合は
近隣へご挨拶をしておきましょう。
(これも工事業者がおこなってくれる場合がほとんどです)
また、工事の実施に近隣住戸の承諾が必要な場合もありますので
その確認も忘れずしましょう。
弊社にも、時々お部屋の工事に対する
ご相談がくることがあります。
「夜勤のため日中寝ているが、工事の音がうるさくて眠れない。」
「テレワークに支障がでている。」など
音に関する内容が多いです。
工事の音はお互い様の面がありますが
近隣にご迷惑をおかけしていることは事実ですので
必ず事前にご挨拶に行き
音などでご迷惑をおかけする旨の説明は行いましょう。
リフォームはお部屋の中が新しくなり、嬉しいことです。
在らぬトラブルでその気持ちが台無しにならないように
事前の準備は入念に行いましょう。
第三者管理方式とは
昨今、管理組合で深刻な問題となっているのが役員のなり手不足です。
分譲マンションでは築年数の経過に伴い
今まで役員を担ってきた方たちの高齢化が進み
役員業務を行うことが困難になってきたり
共働き夫婦の増加により
役員業務に時間を割くことが難しくなったなどの理由で
役員の就任を辞退するケースも多いようです。
実際、役員業務を積極的に行うとなると
時間に余裕があり、ある程度の体力がある人でなければ難しく
その様な人は限られてくると思います。
そうした問題を受け、国土交通省は2016年に
「標準管理規約」の見直しを行い
所有者以外の外部の専門家を管理者として選任する方法
つまり管理組合が管理者業務を
第三者(管理会社など)に委託する方式が条文で追加されており
大手の管理会社では第三者管理を引き受けているところもあるようです。
※現段階では弊社は第三者管理をお受けしておりません。
第三者管理方式には、基本的に以下の3つのパターンがあります。
1.第三者が管理者兼理事長に就任(理事会あり)
2.第三者が管理者に就任、区分所有者が理事長に就任(理事会あり)
3.第三者が管理者に就任、理事長はいない(理事会なし)
このうち3は、日常的な修繕や居住者間のトラブルの解決など
管理業務のほぼ全権を第三者にお任せする方式となり
区分所有者の負担は大きく軽減されます。
但し、以下のデメリットが考えられます。
①通常の管理委託契約とは別契約となり、現在の委託費にプラスして高額な費用が掛かる。
②工事などで管理会社に都合がいい業者を選定するおそれがある。利益相反のおそれがある。
③理事会はなくても、区分所有者から監事を選任する必要がある。
①についてはいわずもがな
管理会社が理事会の負担を一手に担うことになりますので
それなりの費用が掛かると考えられます。
②については、理事会(理事長)の承認を得ずに工事を発注できるため
相場よりも高額な工事費用が掛かる恐れがあり
それを防ぐためには事前に厳格なルールを定めなくてはなりません。
たとえば、大規模修繕工事の発注先を選定する際などにも
相見積もりの取得基準を設けたり
管理者の自社もしくは自社グループに対する発注ルールなどを
明確化しておく必要があります。
大規模修繕工事などの高額な費用が掛かる工事では
検討委員会を設けた方が良いでしょう。
③については、管理者を監視する立場として
区分所有者から監事を選任する必要があります。
結果的に、監事が今までの理事長のような責任的立場になると考えられます。
このように、第三者方式の3には
区分所有者の負担を大きく軽減できる一方
費用の問題であったり、信頼性の問題であったりなど
様々なデメリットもあり一長一短です。
管理会社に依頼する場合は、システムをよく理解した上で
理事会で充分な検討を重ねてからにしましょう。
マンションのインターネットについて
マンションでインターネットに接続するには
大きく分けて2つの方法があります。
1.お部屋ごとに個別でインターネットの契約(プロバイダ契約)を結び、接続工事をおこなう。
2.もともとマンションに共用部分から宅内までのインターネット設備が備わっており、WI-FIルーター等をLANコンセントに差し込むだけでインターネットに繋がる。
後者については
主にワンオーナーの賃貸マンションやアパート等が対象です。
分譲マンションでは
より通信速度の速いインターネット業者と契約したい方や
スマホのモバイル通信で十分で、そもそも自宅にインターネット回線を必要としない方など
ニーズが多様化していることもあり
一括契約しているマンションはあまりありません。
一般的な例として、分譲マンションでインターネットを個別契約する方法を述べますと
まずはご自身のマンションで
どのインターネット業者と契約可能か調べる必要があります。(NTTやau等)
そもそもマンションの共用部分に
インターネット業者が共用設備を設置していなければ契約が出来ませんので
まずは管理会社等に連絡して確認してみましょう。
次に、契約したいインターネット業者に連絡をします。
電話やホームページから問い合わせが可能です。
インターネット業者に連絡すると
契約可能な配線方式(契約プラン)の提示があります。
契約可能な配線方式が判り、契約することになりましたら
工事日を決めます。
配線工事には共用部分での作業もありますが
ほとんどの業者は、管理会社に連絡して日程調整してくれます。
共用部分と宅内での配線作業が完了し
WI-FIルーターを設置してインターネットの接続は完了です。
先に述べた、マンションにおけるインターネットの配線方式は主に3種類あります。
1.VDSL方式 共用設備までは光配線で引き込み、そこから宅内までは電話回線で引き込む方法。築年数の経過したマンションでもっとも多い配線方式。
2.光配線方式 全ての配線を光ケーブルで引き込む方式。通信速度が速く、新しいマンションで多く採用されている。
3.LAN方式 共用設備から宅内までLANケーブルで接続する方式。1本の光ケーブルをマンション内で共有するため、インターネットの使用者が多い時間帯には、通信速度が低下しやすい。LAN方式が採用されているケースは多くない。
お部屋の配線方式がVDSL方式で通信速度に満足いかないときは
契約しているインターネット業者に相談してみるのも一つの手です。
そのマンションで一定の契約数が見込める場合は、光配線方式が契約出来るよう
管理組合に共用設備の導入を働きかけてくれる場合もあります。
また、近年はコンセントに挿すだけでインターネットに接続できる
「ホームルーター」も増えてきています。
VDSLより通信速度が速く
共用設備の有無に関わらず工事不要で直ぐに接続できるメリットがあります。
ただ、お住まいの地域によっては
大容量の通信でラグが発生したり、不安定になったりする場合があるようですので
事前によくお調べの上、契約をご検討ください。
ペットのトラブルを未然に防ぐには
分譲マンションですと室内でのペット飼育を可としているところも多くありますが
ほとんどの管理組合でペットの飼育方法についてのルールを定めています。
ルールで多いのは「鳴き声で迷惑をかけてはならない」「排泄物を正しく処分する」
「共用廊下で歩かせてはならない」の3つですが
その他にも、飼育可能なペットの種類や頭数を定めていたり
毛の飛散を禁止していたり
なかには定期的な健康診断を義務付けている場合もあります。
マンションは色々な人が1つの建物で生活するわけですから
他人に迷惑をかけないルールがメインとなっています。
弊社で管理させていただいているマンションでも
ペット可のマンションは沢山ありますが
居住者の方からのご相談で多いのは
やはり「ペットの鳴き声」に関するご相談です。
もちろんペットの種類やしつけの度合いにより異なると思いますが
昼夜を問わず鳴き出してしまうことにより
近隣の居住者の方から「寝られない」ですとか
「在宅ワークに集中できない」といったご相談があります。
管理会社でも、騒音トラブルの際は管理組合に相談し
注意喚起のお知らせを配布したりしていますので
お困りの時は一度管理会社へ相談してみましょう。
ただ、飼っているペットの性格もあると思いますので
注意しても直らず、飼っている本人もどうしたらいいのか判らない
といったこともあると思います。
こういったトラブルを未然に防ぐためには
近隣住民との日頃からのコミュニケーションが最も重要だと考えます。
ペットを自宅に招き入れたら
上下左右(できれば斜めも)のお部屋に
ご迷惑をかける可能性がある旨、ご挨拶に行きましょう。
ペットと一緒に挨拶に行っても良いかもしれません。
また、廊下等で近隣の方とすれ違ったら
ペットのことでご迷惑をお掛けしていないか声をかけましょう。
常日頃コミュニケーションをとっていると
騒音に対する許容範囲がまるで変ってきます。
繰り返しになりますが、騒音問題の「未然防止」や「解決」には
日頃の挨拶などのマンション内のコミュニケーションがしっかりしていることが最も重要です。
トラブルに発展しないよう、心がけましょう。
必ずおこなう法定点検
マンションにおいて、建物・設備の点検は
安全安心に暮らしていくために重要なことです。
マンションの点検は
大きく分けると法定点検と任意点検の2種類があります。
法定点検とは
マンションの建物・設備に対して法律で実施を義務づけられたものであり
必ず行わなければなりません。
逆に任意点検とは
必ずしも実施しなければならないものではありませんが
より快適に、より安全に
マンションで生活するために実施する点検となります。
例をあげますと
機械式駐車場の保守点検、自動ドアの保守点検、宅配ボックスの定期点検などです。
法定点検はその内容によって関係する法律が変わってきます。
主な法定点検は以下のとおりです。※実施頻度は地域により異なる場合があります。
①特定建築物定期調査(建築基準法)・・・マンションの敷地や建物の状況を調査し、地盤に問題がないか、建物の構造強度に問題はないかなど、その建物の全体的な調査を行う。3年に1回の法定点検。
②建築設備等定期検査(建築基準法)・・・換気設備、排煙設備、非常用照明設備、地域によっては給排水設備といった設備についての検査を行う。1年に1回の法定点検。
③防火設備定期検査(建築基準法)・・・防火扉や防火シャッターなどの防火設備について検査を行う。1年に1回の法定点検。
④エレベーター定期検査(建築基準法)・・・エレベーター及びエスカレーターの機能全般を検査する。1年に1回の法定点検。
⑤消防用設備点検(消防法)・・・各種消防用設備の点検を行う。「機器点検」は、消防用設備の配置や状態の外観点検や動作確認を行い、「総合点検」は機器点検の内容に加え、電源や配線のチェックなど、より詳細な点検を行う。機器点検は半年に1回、総合点検は1年に1回。
⑥防火対象物点検(消防法)・・・建物に防火管理者が選任されているか、避難訓練を実施しているか、消防設備が正しく設置されているかなど、適切に防火管理されているかの点検を行う。1年に1回の法定点検。
⑦簡易専用水道検査(水道法)・・・水質や給水設備の検査。貯水槽の有効容量の合計が10㎥を超える場合に検査が必要。1年に1回の法定点検。槽内の清掃も法令により必須。
⑧自家用電気工作物定期点検(電気事業法)・・・600Vを超える高圧受電設備
の月次点検と年次点検。通常は電力
会社が行うが、高圧受電設備が設置されているマンションは、管理組合が点検を行う。月次点検は1か月に1回 、年次点検は1年に1回。
上記のとおり法定点検は沢山ありますが
マンションの規模や備わっている設備によって実施しなくてはならない点検が変わってきます。
小さいマンションですと
消防用設備点検のみ行えばよいところもあります。
但し、いずれの法定点検も実施・報告を怠ると罰則規定があり
なかには100万円の罰金が科せられるものもあります。
ご自身のマンションではどの法定点検を実施する必要があるか
すべてきっちり行っているか
今一度確認しましょう。
確認の上、未実施の点検がありましたら
管理会社や専門業者に依頼し、必ず実施しましょう。